私は、女性医師として、また、母として二足のわらじを履いてやってきました。診療中に保育園から電話がかかってくることもたびたびでした。患者さんや職場のみんなの温かい理解に助けられてやってこられたと感謝の気持ちでいっぱいです。子育てを通じて、地域社会で生きる一つの家族としての様々な経験(保育園・PTA・街のおまつり・親仲間との交流など)ができたことは家庭医としても大きな糧になっています。
人生のあらゆる経験が様々な患者さんの生活を理解し病気を理解することに役立つからです。
迷惑ばかりかけていて、私の役割ってあるのかなあ?と考えることもありました。そんなとき、「女の先生で良かった。ちょっと聞いていいですか?」という女性患者さんからの声が時々あることに気がつきました。女性には男性医師には言いづらい訴えがあるのではないか?と思うようになり、2003年に、「女性は女性医師を受診したいと思っているのか?」という研究を行いました。その結果、いつも、または場合によって、かかりつけ医として女性医師を希望すると答えた女性は合計73.6%、一方男性の59.7%が性別をどちらでもよいと考えていました。グラフに示すように、羞恥心に関係のある問題では圧倒的に多くの女性が女性医師に診てほしいと答えました。男性ではグラフにあるすべての項目で性別はどちらでもいいと答える人の方が多い結果でした。また女性特有の問題で過去に男性医師を受診した女性のうち、できれば女性医師に診てほしかったと答えたのは59.6%でした。かかりつけの医療機関で診察医の性別を選べない、わからないと答えた割合は男女あわせて全体の76.9%でした。このことから、女性の多くが女性医師を必要としているにも関わらず受診時医師の性別を選べない状況も明らかとなり、患者さんのニーズに応えられる診療体制やサービスの改善も必要と考えられました。
女性医師として私にできる役割があることがわかり、女性患者さんの今までなかなか言えなかった訴えに耳を傾けようと心がけています。また,少しでも患者さんの生活に近いところで医療を考えられる家庭医になるために、母であること、妻であること、普通の一市民であることを大事にしています。
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新百合ヶ丘で家庭医療を行っています。内科・小児科が中心ですが、赤ちゃんからお年寄りまで、病気・介護・健康問題について何でもご相談ください。健康診断・在宅診療・予防接種なども行っています。